DX戦略とは?必要な理由と成功の秘訣を3つの事例で解説

昨今、インターネット上のビジネスニュースでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する記事が毎日更新されるほど、注目されている状況が続いています。

この状況を裏付けるように一昨年、一般社団法人日本能率協会が発表した「日本企業の経営課題」ではDXに取り組む企業が約45%に達しており、大企業に限っては約60%強がDXを導入し、成果が出ていると報告されています。そこで今回はDXの意味や定義のほか、DX戦略が必要な理由。さらに成功に導くポイントや事例を解説します。デジタル技術による経営や業務改善を検討する際には必須の知識ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX戦略の本題に入る前に、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の定義と歴史を簡単に説明します。DXの本質を理解することが、戦略の策定には欠かせないのでしっかりとチェックしてみましょう。

★まとめ
・DXとはデジタル技術を活用して生活やビジネスを変革すること
・DX戦略を成功に導くには全社員にビジョンを共有すること
・DX戦略のメリットは顧客ニーズの変化に素早く対応、業務の効率化/生産性向上、新しいビジネスモデルの創出

そもそもDXとは?

DXとは「Digital Transformation」の略称です。日本語では「デジタル変革」と訳されています。DX を一言で表現すると「デジタル技術を活用することで生活やビジネスを変革すること」になります。さまざまな意味で捉えられがちですが、日本のビジネスシーンにおいては経済産業省の定義を理解すれば間違いはないでしょう。

DXの歴史

DXの歴史は2004年、スウェーデンのウメオ大学教授で2022年現在はインディアナ大学教授で上級副学部長のエリック・ストルターマン氏が提唱した概念です。この概念は「デジタル技術を活用し、人々の生活をあらゆる面で豊かに変革させる」ことを指します。なお、日本にDXが浸透したのは経済産業省が2018年に発表したDXレポートであるとされています。

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DX戦略とは?

ユーザーに新たな価値を提供するためには、これまでにない収益獲得の仕組みを構築することが先決です。このためには既存のビジネスモデルを打破して企業全体の変革が求められます。従ってその変革の過程にはDXを成功に導くための中長期的なロードマップが必須です。つまり、DX戦略とは、「DXで目標達成を実現するための指標の確立」といって間違いはありません。

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DX戦略が必要な理由とは?

DX戦略について理解できたところで、次にDX戦略が必要な理由として以下の2つを説明します。

ユーザー提供価値の変革が必要

DX戦略がないと企業の一部社員だけでDXを進めることになります。しかしながらDXは新しいユーザー提供価値への変革が必要不可欠です。ただ、一般的に変革にはさまざまな障害が立ちはだかるため、一部の社員だけで乗り切るのは困難です。従って全社一丸となってDXを推進することが重要となります。

手段が目的化することを防ぐ

DX戦略がないとDXを実践することが主目的になるケースが多いです。つまり、手段が目的化する恐れがあります。この結果、新しいDXの施策を手当たり次第に行うことになりかねません。このような失敗を繰り返さないためにも指標となる「ロードマップ」が必要です。

2020年12月に経済産業省が発表した「DXレポート2」を参考に、超短期・短期・中期のDXのロードマップ(シナリオ)を確認してみましょう。

【超短期はDXの理解と業務のデジタル化】
1.事例などの情報収集
2.業務環境のオンライン化
3.従業員の安全、健康管理のデジタル化
4.顧客接点のデジタル化

【短期のDXは推進体制の整備と戦略の策定】
1.社内のDXに対する認識や方向性をまとめる
2.CIOなどの担当者、責任者を設置して役割と権限を明確化する
3.デジタル企業としての競合優位性を確立するまでの具体的な作戦を立案
4.それぞれを実行し、PDCAサイクルが回せる状態をつくる

【中期は人材育成とプラットフォームの形成】
1.SaaSサービスなどに移行することでレガシー環境から脱却を図る
2.DX人材の確保
3.「1」と「2」を活用して産業変革を加速する

あくまで一例ではありますが、俯瞰的な観点を持ちつつ、ひとつずつステップアップすることが必要です。

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DX戦略を成功に導く推進プロセス

ここではDX戦略を成功に導く推進プロセスを3つ説明します。幅広い産業に適用できる内容なので、ぜひ確認してみてください。

ビジョンを共有する

DX戦略では、事前に話し合いの場を設けて「どんな成果を得たいのか」というビジョンを明確にした後、共有することが大事です。この際、ビジョンの共有は一部の経営層だけで無く、社員全員で行いましょう

なぜならDX導入には様々な試練が待ち構えており、社員一人ひとりの行動が成功の鍵を握るからです。従ってDX戦略のビジョン共有は社員全員で行なうことが重要となります。

自社が保有する資源を把握する

DX戦略を推進するためには、自社に散在する資源(技術、ノウハウ、人材)を把握することです。

必要な資源が散在している状態は企業として有益が情報が無いに等しく、DXで重要な社内変革が起こりにくい環境と言えます。従って社内の資源を集約し、いつでもスタートダッシュが切れる状態にすることが大切です。

課題に対してDXを推進する

「Time is money(時は金なり)」ということわざがある通り、ビジネスチャンスは時期を逃しては成就できません。従って完全を目指さず、できるものから実践することが肝要です。

まずは目の前にある課題に対して「すぐにできるもの」と「時間の掛かるもの」に区別します。その後に「すぐにできるもの」に速やかに対応しましょう。僅かでもDXを進めれば、ノウハウが蓄積されてDXのスピードも加速することになります。なお、課題を絞り切れていない場合は、アナログデータをデジタル化することを最優先しましょう。

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DX戦略の導入メリット

ここではDX戦略の導入メリットを3つ説明します。どの項目もDX戦略の根幹をなす部分ですのでしっかりと理解しましょう。

業務の効率化と生産性向上が可能

DX戦略の基本は企業内に溢れるアナログデータをデジタル化にすることです。デジタル化の過程で業務の棚卸をすることにより、業務の自動化や無駄な業務の削減等が行われます。この結果、業務の効率化と生産性向上が可能となります。

同時に業務のデジタル化が進むことで従業員は残業時間の削減や在宅勤務が実現することで労働環境の改善にも繋がります。

新しいビジネスモデルを創出できる

我々を取り巻く生活やビジネスは日々、刻々と変化しています。このような環境下、DX戦略を導入することで市場ニーズにマッチした商品やサービスを生み出す取り組みが活性化されます。この結果、これまでに無い画期的なビジネスモデルを創出することができます。

顧客ニーズの変化に素早く対応できる

昨今、ユーザー志向は多様化しており、従来のマーケティング手法やユーザー分析が通用しない環境に置かれています。この状況に対応する手段として最新テクノロジーやビッグデータの活用等を駆使するDX戦略です。DX戦略の導入で顧客ニーズの変化に素早く対応することが可能です。

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DX戦略の導入事例

ここではDX戦略で成功を収めた主要企業のうち、3社の活動を紹介します。自社に役立てられるものがあるか確認してみましょう。

株式会社クボタ

アプリを使い診断している状況

建機・農機などの製品を軸に世界各国にトータルソリューションを提供する株式会社クボタ。

同社が2020年12月にリリースした『Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)』は、3Dモデル・AR機能を活用した故障診断ができる革新的なサービスです。

具体的には以下のメリットを与えることができるとされています。

・経験や知識に頼らない故障診断フローを提供

建機の修理対応の多くは現地販売代理店のサービスエンジニアの手で行われており、担当者の経験・スキルによってはマニュアルだけではサポートが不十分なケースも発生していました。

・ダウンタイムによる建機の稼働率低下を抑える

ダウンタイムによる建機の稼働率低下は、ユーザーの収益減少に直結する問題。そのため、迅速かつ効率的で誰にでもわかりやすく、サービスエンジニアの能力に左右されない故障診断サポートが求められていました。

★詳しくはこちら

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コマツ(株式会社小松製作所)

出典:https://sanki.komatsu/komtrax/

総合機械メーカーのコマツはDX戦略を導入した「コムトラックス」を開発しました。

このサービスは全世界で稼働する約30万台あるコマツ製の建設機械にGPSを搭載することで、機械の稼働情報や警告情報、故障情報などを収集してユーザーの稼働管理やメンテナンス管理を支援します。

具体的にはユーザーに対して以下のメリットを与えることができるとされています。

・盗難防止

建設機械は高価で稼働場所も郊外が多いため、盗難被害に遭うケースがありました。コムトラックスを導入することで建設機械の位置情報を適時確認できます。万一、盗難被害に遭った場合は遠隔操作で建設機械のエンジンを停止することも可能です。

・保守費用の削減/稼働率の向上

コムトラックスを導入することで建設機械のメンテナンス情報や稼働状況を管理しているため、適切なメンテナンス時期を通知することができます。これにより不要なメンテナンスを防ぎ、保守費用を削減できます。また、定期的なメンテナンスを行うことで機械の故障を防止できるため、稼働率の向上にも貢献できます。

沖電気工業株式会社

出典:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000312.pdf

情報機器メーカーである沖電気工業は、DX戦略を踏まえた「バーチャル・ワンファクトリー」 を推進しています。この取組みは同社の2工場(本庄工場と沼津工場)をバーチャル的に1つの工場として融合するものです。

この取組みの背景として現在、各工場では異なる製品を生産していますが急激な需要の増減に対して施策が充分でありませんでした。

そこで今回の取組みとして以下の4つを実行しました。

・部門間融合

生産、技術、品質の各部門で交流会を実施しました。また、効果のある施策として「良いとこ取り活動」も水平展開しています。

・生産融合

生産状況の見える化を行うことで各工場の負荷状況が明示された結果、各工場の得意技能も明確になりました。 これにより、生産の繁閑に合わせた工場間での生産応援が可能となりました。

 ・試作プロセス融合

協力メーカーに任せていた工場の試作品を別の工場で請け負いました。これにより、試作生産の効率化と量産工程へのフィードバックが容易になりました。この結果、新製品の生産立ち上げ期間が短縮されました。

・IT融合

工場間で異なる生産管理システム(ERP)の統合検討を開始しました。

この取組みの成果は以下の2つです。

2工場の生産規模を維持しながら効率化を進めた結果、コスト削減に加えて人材や技術の交流が活性化。この結果、両拠点の強みを生かした生産体制を構築しました。

・工場間の連携により、多品種少量生産の二―ズの取り込みや人手不足に対応した工場間の負荷分散等、外部環境変化 への対応が容易にできる体制を確立しました

まとめ:適切なDX戦略が成功のカギ

この記事ではDXの意味や定義からDX戦略の必要な理由、そして成功に導くポイントや事例までを解説して来ました。DX戦略の成功には新しいユーザー提供価値への変革が必要不可欠です。しかしながら組織の変革には反対勢力が多いのも事実です。

従って全社員を巻き込んで各自が当事者意識を持てる取り組みにすることが重要と言えるでしょう。

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