スマートオフィス化に寄与するエレベーターの制御・管理が可能なIoTエコシステムを構築
OTIS(オーチス)は、世界で初めてエレベーターの製造・販売を行ったパイオニア。現在も世界最大規模のエレベーター製造会社として、グローバルに製品を展開しています。
モンスターラボの北米拠点は、エレベーターのクラウド接続を可能にするIoTプラットフォーム『eCall』の開発プロジェクトに企画・リサーチ段階から参画。スマホアプリとサードパーティ開発者向けのSDKを開発しました。
創業から120年に渡って高品質なエレベーターを作り続けてきたOTISでしたが、近年はスマートオフィスの需要が加速。社会のデジタル化が進むなか、単に完成された製品としてエレベーターを製造し続けるだけでは競合優位性の担保が困難になっていました。
OTISが目指したのは、エレベーターをクラウド接続でコントロール可能にする新たなIoTソリューションの開発。OTIS社内にアプリ開発の知見が不足していたこともあり、プロジェクトを通じて運用チームの内製化をサポートすることが開発のパートナーに求められました。
ハードウェア側のIoTハブと連動し、アプリからエレベーターを操作・管理する仕組みを構築。遠隔操作でエレベーターを呼び出し、ユーザーの待ち時間を短縮できるようにしました。同時に、扉の開閉時間もアプリ上でコントロールできる仕組みを取り入れ、荷物の運搬や障害者の搭乗のサポートをにも対応。ビル管理者向けの画面では複数台のエレベーターの状態をリアルタイムで確認できるようになりました。
また、エレベーターの設置場所は多岐に渡るため、フレキシブルな導入を可能にするためのサードパーティ開発者向けのSDKとAPIを含むプラットフォームを構築。オフィスビルやホテルなど設置場所で利用されている既存アプリとの連携を容易にしました。
エレベーターという製品の特性上、開発面で重要なポイントになったのがフィジカル面での安全性とインターネットセキュリティ。デモ機を活用してアプリの動作確認を行い、ペネトレーションテストとロードテストを実施するなど、多方面から入念なテストを実施しました。
プロジェクト開始から9ヶ月で『eCall』は正式リリース。世界各国に導入されている200万機のエレベーターへの対応が可能になり、複数のビルのエレベーターを登録して1つのアプリで操作できるようになりました。
また、プロジェクトを通じてOTIS社にアプリ開発の知見をナレッジシェア。同社の運営チームによる内製化を支援しました。
モンスターラボはスピーディーな開発と人材育成の面で評価され、同社が業務提携するユナイテッド・テクノロジーズ社のスマートオフィス構想にも参画しています。