AIの進化で「なくなる仕事」と「残る仕事」の特徴は? AI技術の現状から徹底解説

AIの進化で「なくなる仕事」と「残る仕事」の特徴は? AI技術の現状から徹底解説

AI(人工知能)技術の発展とともに、「AIが台頭し、人間の仕事が奪われるのでは」という不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、現在は問題特化型のAIが開発・導入されているケースがほとんどで、1つの問題の解決にのみAIが機能しているのが現状です。

この記事では、AI技術の現状や、AIよりも人間の方が優れている点、AIの進化に伴う懸念事項から、AIによって「なくなる仕事」「残る仕事」の特徴をわかりやすく解説しています。

★AIについての詳細はこちらの記事をご参照ください。

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AIは人間の仕事を奪う? 危惧されている問題とは

AIの進化でなくなる仕事・残る仕事の特徴は?

AIの進化でなくなる仕事・残る仕事の特徴は?

近年、AIを活用したテクノロジーが身近なものになり、便利な世の中になることを歓迎する一方で、「AIが発達することで人間の仕事が奪われるのではないか」と危惧する声を耳にする機会が増えました。

各種メディアがこぞって「こんな仕事はいずれAIに淘汰されてしまう」と警鐘を鳴らしていることもあり、どのように仕事を選べばいいのか不安に感じている人も多いようです。

しかし、人々の不安を煽るように、少々行きすぎた表現が用いられているように感じることも多々あります。

人間が持つNI(自然知能)とコンピューター上で表現するAIの間にはまだまだ埋められないほどの溝があることも事実。実際に、現在開発されているAIのほとんどは問題特化型で、1つのモデル化・数学化した問題の解決にのみ機能しているというのが現状です。

「問題特化型の知能をたくさん集めればいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、小さい知能を集めたところで人間のように全体を考える知能にはなりえません。例え、シンギュラリティに到達したとしても、すぐにAIが幅広くあらゆる問題について考えられるわけではないのです。

以下に、詳しく解説していきましょう。

AI技術の現状

現在、開発・導入されているAIのほとんどは問題特化型

現在、開発・導入されているAIのほとんどは問題特化型

現在、実用化が進んでいるAI技術の代表格といえるのが「予測」。AI技術の発展により予測にかかるコストが下がったことで、人間社会の至るところで活用されています。

例えば、AI音声アシスタントも人間が語りかける言葉を聞き取り、どのような情報を探しているのか“予測”して回答を導き出しています。他にも、従来から予測を必要としてきた分野はもちろん、これまで予測がほとんど不可能だった分野でも活用されています。

ただし、予測は意思決定に繋がりますが、あくまでも決断するための要素の1つに過ぎません。どれだけAIによる予測の精度とスピードが向上しても、人間による判断のほうが優れているケースが多いのが現状です。

AIよりも人間の方が優れていること

AIよりも人間の方が優れている点も

AIよりも人間の方が優れている点も

それでは、AIより人間の方が優れていることにはどのようなものがあるのでしょうか。

人間がAIよりも優れている点

予測はデータに依存しているため、人間のほうがAIよりも優れている点が2つあります。

①AIがまだ知らない事柄についての知識がある
②データが不十分な状態での決断が優れている

人間は持っているが、AIは持つことができないデータ

また、人間は持っているけれど、現在のテクノロジーではAIが持つことができない3つのデータがあります。

①感覚
人間の視覚・聴覚・嗅覚・触覚の多くは機械よりも能力が優れている。
②人間の好み
人間の好みは最終的に人間が決定するため、あくまでもデータを受け取る立場になる。
③プライバシー
人間にはみだりに他人に公開されない個人情報がある。

上記は予測するための十分なデータを収集することができないため、AIが人間の判断を学習して予測することができません。

AIが普及しても無くならない仕事

AIの進化による懸念点も

AIの進化による懸念点も

AIより人間の方が優れている能力や、人間にしか持つことができないデータがあるように、AIが普及しても無くならないとされる仕事も多くあります。

野村総研の調査によれば、人工知能やロボットによる代替可能性が低い100種の職業は、以下の通り。

人工知能やロボットによる代替可能性が低い100種の職業

アートディレクター、アウトドアインストラクター、アナウンサー、アロマセラピスト、犬訓練士、医療ソーシャルワーカー、インテリアコーディネーター、インテリアデザイナー、映画カメラマン、映画監督、エコノミスト、音楽教室講師、学芸員、学校カウンセラー、観光バスガイド、教育カウンセラー、クラシック演奏家、グラフィックデザイナー、ケアマネージャー、経営コンサルタント、芸能マネージャー、ゲームクリエーター、外科医、言語聴覚士、工業デザイナー、広告ディレクター、国際協力専門家、コピーライター、作業療法士、作詞家、作曲家、雑誌編集者、産業カウンセラー、産婦人科医、歯科医師、児童厚生員、シナリオライター、社会学研究者、社会教育主事、社会福祉施設介護職員、社会福祉施設指導員、獣医師、柔道整復師、ジュエリーデザイナー、小学校教員、商業カメラマン、小児科医、 商品開発部員、助産師、心理学研究者、人類学者、スタイリスト、スポーツインストラクター、スポーツライター、声楽家、精神科医、ソムリエ、大学・短期大学教員、中学校教員、中小企業診断士、ツアーコンダクター、ディスクジョッキー、ディスプレイデザイナー、デスク、テレビカメラマン、テレビタレント、図書編集者、内科医、日本語教師、ネイル・アーティスト、バーテンダー、俳優、はり師・きゅう師、美容師、評論家、ファッションデザイナー、フードコーディネーター、舞台演出家、舞台美術家、フラワーデザイナー、フリーライター、プロデューサー、ペンション経営者、保育士、放送記者、放送ディレクター、報道カメラマン、法務教官、マーケティング・リサーチャー、マンガ家、ミュージシャン、メイクアップアーティスト、盲・ろう・養護学校教員、幼稚園教員、理学療法士、料理研究家、旅行会社カウンター係、レコードプロデューサー、レストラン支配人、録音エンジニア

(出典)株式会社野村総合研究所

AIの進化に伴う懸念事項

まだまだAIでは解決できない問題があることを説明してきた一方で、我々人間が懸念すべき事案も多々存在します。なかでも、富の分配が不平等になることが大きな問題として考えられるでしょう。

これまで以上に富の分配が不平等、格差が生れる

AI技術の進化に伴って人々の生活は豊かになり、生産性が向上するということは、多くの経済学者が認めるところ。ただし、富を生み出すことができる一方で、所得の格差が広がる懸念があります。

例えば、AIが人間から一部のタスクを奪うと、残されたタスクを巡って人間同士の競争が激化。結果として、労働者の賃金は低下します。その一方で資本を所有している側では生産性の向上による利益を享受することができ、従来以上に格差が広がってしまいます。

AIによる代替可能性が高い職業

AIよりも人間の方が優れている領域がある一方で、AIの方が人間よりも有利にこなせる仕事も多くあります。野村総研の調査によれば、人工知能やロボットによる代替可能性が高い100種の職業として次の職業が挙げられています。

人工知能やロボットによる代替可能性が高い100種の職業

IC生産オペレーター、一般事務員、鋳物工、医療事務員、受付係、AV・通信機器組立・修理工、駅務員、NC研削盤工、NC旋盤工、会計監査係員、加工紙製造工、貸付係事務員、学校事務員、カメラ組立工、機械木工、寄宿舎・寮・マンション管理人、CADオペレーター、給食調理人、教育・研修事務員、行政事務員(国)、行政事務員(県市町村)、銀行窓口係、金属加工・金属製品検査工、金属研磨工、金属材料製造検査工、金属熱処理工、金属プレス工、クリーニング取次店員、計器組立工、警備員、経理事務員、検収・検品係員、検針員、建設作業員、ゴム製品成形工(タイヤ成形を除く)、こん包工、サッシ工、産業廃棄物収集運搬作業員、紙器製造工、自動車組立工、自動車塗装工、出荷・発送係員、じんかい収集作業員、人事係事務員、新聞配達員、診療情報管理士、水産ねり製品製造工、スーパー店員、生産現場事務員、製パン工、製粉工、製本作業員、清涼飲料ルートセールス員、石油精製オペレーター、セメント生産オペレーター、繊維製品検査工、倉庫作業員、惣菜製造工、測量士、宝くじ販売人、タクシー運転者、宅配便配達員、鍛造工、駐車場管理人、通関士、通信販売受付事務員、積卸作業員、データ入力係、電気通信技術者、電算写植オペレーター、電子計算機保守員(IT保守員)、電子部品製造工、電車運転士、道路パトロール隊員、日用品修理ショップ店員、バイク便配達員、発電員、非破壊検査員、ビル施設管理技術者、ビル清掃員、物品購買事務員、プラスチック製品成形工、プロセス製版オペレーター、ボイラーオペレーター、貿易事務員、包装作業員、保管・管理係員、保険事務員、ホテル客室係、マシニングセンター・オペレーター、ミシン縫製工、めっき工、めん類製造工、郵便外務員、郵便事務員、有料道路料金収受員、レジ係、列車清掃員、レンタカー営業所員、路線バス運転者

(出典)株式会社野村総合研究所

とはいえ、現状のAI技術は問題特化型。AIによって人間の仕事が奪われるようになるまでには、長い年月が必要とされるでしょう。

【参照元】
・三宅陽一郎・森川幸人「絵でわかる人工知能」(SB Creative
・アジェイ アグラワル・ジョシュア ガンズ・アヴィ ゴールドファーブ /翻訳:小坂 恵理
・「予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済」(早川書房)

AI技術によってどのように問題が解決されているのか

現状のAI技術は問題特化型であると説明してきましたが、具体的にはどのように問題解決に取り入れられているのでしょうか。実際のプロダクト開発事例から、詳しく説明します。

AIの画像認識を活用した自動採寸アプリを開発し、事業のコスト削減に貢献

 

AIでどんな問題が解決できるのかを解説

AIでどんな問題が解決できるのかを解説

株式会社ユニメイトは、レンタルユニフォーム事業を展開する企業。同社の課題は、採寸ミスによる誤発注が頻発していたこと。この課題に対し、AIの画像認識を活用した自動採寸アプリ『AI×R Tailor(エアテイラー)』を開発しました。

採寸作業の工程にAIの画像認識を活用することで、誤採寸などの人為的なミスによって生じていたコストを削減することに成功。一方で、意思決定や発注という工程は人間が担当しているため、作業の工程に携わっている人員の数に変化はありません。

このケースからもわかるように、AIは“人間の仕事を奪う”のではなく、単純作業を効率化し、手間や人為的なミスを削減するために活用されています。

将来的には、複数のAIを同時に用いることによって人間の仕事をなくすことは可能かもしれません。しかし、その技術を実現させるためには長い年月が必要になると考えられます。

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まとめ:AIは仕事を“奪う”のではなく“助ける”存在

AIは作業の効率化や無駄の削減を手助けする存在

AIは作業の効率化や無駄の削減を手助けする存在

AIの進化によって「なくなる仕事」と「残る仕事」の特徴を紹介してきました。

AI技術の発展に伴い「AIによって人間の仕事が奪われるのでは」と不安に感じている人は多い一方で、現状のAI技術はあくまで問題特化型。AIが人間の仕事を奪うようになるまでには長い年月が必要となります。加えて、AIの方が人より得意な分野があると同時に、AIより人の方が向いている仕事も多くあります。

また、AIは人の仕事を“奪う”というより、“助ける”ためにあるという認識の方が、本来のAI技術の目的に即していると考えられるでしょう。AIを有効活用することで、単純作業の効率化や人為的なミスの削減が可能になります。

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